「24時間いつでもどこでも暖かい家」を求め、
石川県にある高気密高断熱住宅専門のコンセプト建築設計にて、富山県で家を建てました。
その結果として、床下エアコン1台による床下暖房を行う家に住んでいます。
先日のメモ「暖かい家にするなら、全棟気密測定をするハウスメーカーを探そう」にて、
暖かい家をつくるための前提となる、気密性能は現場での実測定がないと判明しないことをお伝えしました。
ホームビルダーを探していた際に、気密測定すらしていない、もしくは、気密測定しても十分な性能ではないハウスメーカーさんや工務店営業さんのお話を何度か聞きました。
そこで今回は、全国的にも有名なハウスメーカーは実際気密測定を行っているのか?と家を建てた後ながら気になったので調べてみました!
Contents
どこが大手ハウスメーカーなのか?
大手ハウスメーカーを2016年度着工件数順で10位までを大手ハウスメーカーとしました。
また、気密断熱を売りにする中堅ハウスメーカーのスウェーデンハウスも追加しました。
トータル11社を調査しました。
なお、着工件数は住宅産業新聞を基に記入しています。
未記載だった一条工務店は公式HP、タマホームは有価証券報告、スウェーデンハウスは公式HP過去棟数からです。
調査ルール
公式ホームページを確認の上、
- 「全棟気密測定」
- 「実測C値」
- 「高気密を喧伝する表現(もしくは相当の言葉)」
の記載があるか調べました。
公式HPに記載がない場合は「-」の表記としています。
気密性能指数C値とは?
C値(相当隙間面積):数値が小さい方が隙間が小さい、高気密となる。
私は高気密住宅というには最低1.0、できれば0.5を達成できるホームビルダーを探しました。
仕事の都合で立会いはできずでしたが、結果として気密C値0.1と超高気密な測定結果の連絡を受けたときには、非常にうれしかったです。
※日本の次世代省エネ基準C値5.0は誰でも達成できる無意味な数値です!!隙間だらけです。
結果:大手ハウスメーカーの気密に関する記載は!?
なんと全棟気密測定&C値実測値をホームページに記載しているのはたった1社でした。
それにも関わらず、「高気密」(もしくは類する)言葉を用いているのは、すべてのハウスメーカーでした。本当に高気密を売りにできるなら数値で示していただければ納得できるのですがこれではしっくりこないですね。
順 位 |
ハウス メーカー |
着工 件数 |
全棟 気密 測定 |
C値 記載 |
高気密 の表現 記載 |
備考 |
1 | 積水ハウス | 12,570 | - | - | あり | 「高い気密性」の記載 |
2 | 一条工務店 | 12,500 | あり | 0.61 | あり | C値は平均実測値 |
3 | 旭化成ホームズ | 10,097 | - | - | あり | 「高耐久型気密」記載 |
4 | セキスイハイム | 9,560 | - | 2.0 | あり | 実験住宅による測定値 |
5 | ダイワハウス | 9,286 | - | - | あり | 「高気密」の記載 |
6 | 住友林業 | 8,390 | - | - | あり | 「高い気密性」の記載 |
7 | タマホーム | 7,620 | - | - | あり | 「高い気密性」の記載 |
8 | ミサワホーム | 7,247 | - | - | あり | 「高気密」の記載 |
9 | パナホーム | 5,747 | - | - | あり | 「高気密」の記載 |
10 | トヨタホーム | 4,908 | - | - | あり | 「優れた気密」の記載 |
他 | スウェーデン ハウス |
≒1,700 | あり | - | あり | C値の記載はなし |
大手ハウスメーカーで「家は性能」を売りにして着工件数を大きく伸ばしている一条工務店だけはさすがの一言でした。
同じく高断熱性能値を売りにしているスウェーデンハウスは全棟気密測定を保証している割に気密C値の記載がありませんでした。なぜか?は不明です。全棟測定時に数値まで保証できないからでしょうか・・・。
一条工務店を除く、大手ハウスメーカーが、数値表記なしに「高気密」を謳っている、驚きの結果となりました。なにをもって信じればよいのか、わかりませんね。
(セキスイハイムがC値2.0表記していましたが、それはそれで高気密とはいえない数字ではないかと思います。)
なお、ハウスメーカー名に記載のあった各社HPへのリンクをつけています。ご自身の目でもぜひ確認してみてください。
なぜ気密性能値を記載しないのか?
あくまで推定になりますが、
- 気密性能値が他社比較では悪い。過去の自社物件よりは気密性能値が高い程度。
- 気密性能値を全棟測定していないために保証できない。だから、数値表記できない。
- それでも「高気密」という表現を使って、売りにはしたい。比較はされたくない。
という流れかな、と思いました。
家づくりをお願いしたい施主側からすると、ちょっと嫌な話です。
気密性能だけが暖かい家をつくる手段ではないとは思います。
それでも、気密・断熱性能が、暖かい家を造る根幹になるとも思うので、私にとっては非常に重要なポイントでした。
今日のまとめメモ
- 大手ハウスメーカーで、全棟気密測定&気密C値を記載しているのは、一条工務店のみ。
- 次点で、スウェーデンハウスは全棟気密測定を行っている。が、C値記載はなし。
- その他は、全棟気密測定もC値記載もなし。にも関わらず、「高気密」を宣伝している。
さすがに大手ハウスメーカー1社1社をGoogleにて検索するのは骨が折れましたが、非常に面白い結果となりました。面白いというよりは恐ろしい、が正しいかもしれません。
数値表現できないのに(しないのに)高気密を売りにされると誤った印象を受けることになるので、これからホームビルダーを検討する方々はしっかりと質問して納得できる会社を選んでいただければと思います。
今回は大手ハウスメーカーを調査しましたが、地元の工務店や設計事務所のほうがよっぽど高気密高断熱に精通している場合があります。(私の選んだ理由はまさにそうでした。)地元のホームビルダーをまわって質問する、というのも大切だと考えます。