「24時間いつでもどこでも暖かい家」を求め、
石川県にある高気密高断熱住宅専門のコンセプト建築設計にて、富山県で家を建てました。
その結果、床下エアコン1台による床下暖房を行う家に住んでいます。
温度環境はこれまでメモしてきましたが、今回から数回は湿度ついてメモします。
先に書いておきますと、
私の家は乾燥しやすいので乾燥対策を行っています。
が、それは高気密高断熱住宅が理由ではないです。
キーワードは温度と気流です。
高気密高断熱だから乾燥しやすい、という誤解を持ったまま、ハウスメーカーをまわると各社に都合の良い説明をされます。何も知識を持たないままハウスメーカー展示場に行った初期の私も鵜呑みにするところでした。
高気密高断熱住宅は乾燥するって誰が言う?
私が聞いたのは、
- ハウスメーカーの展示場での営業・説明員さん
- 高気密高断熱住宅に住む知人・友人
でした。
あるハウスメーカーでは「高気密過ぎると乾燥が心配です。湿度が極端に低くなります。ですので、我々は~」と説明を受けました。
初めはこれを鵜呑みにしてしまいました。というのも、家を新築した知人・友人からもそう聞いたんです。「最近の家は、高気密高断熱だから乾燥するよ。私の家も本当に乾燥する。加湿器を複数置いている。」と。知り合いの実体験もあったので、ものの見事に信じました。
その後、暖かい家づくりを真剣に考えるようになってから、色々調べたうえで、その理屈が間違っているな、と理解できました。
過乾燥の原因1:温度
まず、温度が高くなると(相対)湿度は低下し乾燥します。
つまり、暖かい家にしようとすると、必ず湿度は低下するということです。
高気密高断熱かどうかは関係ないのです。
%で表す湿度を相対湿度と言います。
相対湿度:「対象温度における飽和水蒸気量」に対する「空気中の水蒸気量の比率」
温度が高くなると、飽和水蒸気量は増えます。対して、空気中の水蒸気量は変わりません。
そのため、温度が高くなると、相対湿度は低下します。
これが過乾燥・低湿度化の最大の原因といえます。
いつでもどこでも24時間暖かい家を求めると必ず起きる現象なのです。
過乾燥の原因1:温度 に対する疑問
昔なつかし。乾燥対策にしっかりなっていた。
では、昔の家・部屋では、何故乾燥した記憶がないのか?今より乾燥した記憶が薄いのか?
それは、石油ストーブやファンヒーターなどの開放型暖房機器を使用していたためです。
石油(灯油)を1ℓ燃焼した場合、約1.1ℓの水分が発生します。これが乾燥をある程度緩和し、加えて、石油ストーブの上に、やかんをのせて乾燥対策もされていましたね。
ですが今では、石油(灯油)は二酸化炭素排出量が高く空気を汚すことが体調・環境面共に問題視されています。また、二酸化炭素を喚起するために、外の空気を換気で取り込む量が多く必要となり、結果コスト(灯油代)が高くなることになります。
また、昔は家全体を温める発想がなく、局所的な暖房だったので乾燥する場所も限定されていたといえます。
これらのことから、昔の家より今の家のほうが乾燥を感じやすい、といえます。
なにも高気密が関係しているとは言えないですし、暖かい家を求めると結果乾燥するということになります。
過乾燥の原因2:気流
石油(灯油)を用いた暖房器具が主流から外れた今、何を暖房機器とするか。
石油以外を燃料とした暖房機器として以下のようなものがあげられるかと思います。
エアコン・床暖房・蓄熱式暖房・薪ストーブ・ペレットストーブ
この中で比較すると、エアコンやペレットストーブ、蓄熱式暖房などファンによって気流が発生する暖房機ではさらに乾燥がしやすいと言えます。
快適そうな顔だが絶対乾燥で顔カピカピだろうの図
洗濯物にサーキュレーターなどで風をあてると乾燥が早まりますよね?(私の家もサンルームにはサーキュレーターを導入しています。)それと同様に、暖房機の温風が勢いよいと湿度も低下しやすいということです。
よって、現在主流の暖房機の中では、床暖房や薪ストーブなど自然な上昇気流を用いた機器のほうが乾燥を抑制することができます。
床下エアコンはエアコンを活用していますが、床下からの上昇気流のみで暖めるので、通常のエアコンよりも乾燥は控えめだと実感しています。直接温風が当たらないので、不快でもないです。
それでも、床暖房であろうが薪ストーブであろうが床下エアコンであろうが、乾燥は必ずします。それは、結局温度が上がれば、相対湿度が下がることは間違いないことだからです。
今日のまとめメモ
- 高気密高断熱が理由で乾燥しているわけではない。
- 過乾燥・低湿度化の1番大きな理由は、温度を高くすると相対湿度が減るから。
- 2番目の理由として、エアコンやストーブのファンによる気流で乾燥が早まるから。
- 床暖房や薪ストーブ、床下エアコンは直接風が当たらずマシ。でも乾燥は必ずする。
暖かい家づくりを行おうとすると必ず乾燥することを知った上で、ハウスメーカーや展示場で説明を受けたほうが良いと思います。高気密高断熱は関係ない話なのですが、どうしても自社の都合の良いように説明をされる営業や説明の方は散見されました。本当に必要なのは、必ず乾燥するので如何に対策を行うか?を説明いただけることだと思います。
多くの方は生涯に1度建てるか建てないかの家づくりです。ホームビルダーの言葉を鵜呑みにせず、自分が納得した上で物事を進めて満足した家づくりになってほしいな、と思います。本当はホームビルダーすべてが誠実な対応をしていただければ最も幸せな話ではありますが。
乾燥対策にどのようなことを行っているか、床下エアコン暖房による実際の湿度推移は、今後のメモに残していきたいと思います。